山好きオヤジの独り言

山の思い出や日々の事を書き留めています。

この松は松くい虫で枯れています

昔、世話になった先輩から松が変なので見てくれとの依頼があり、見に行きました。
樹木医としての診断以前の問題で、ひと目で松くい虫として診断しました。
松くい虫、マツノザイセンチュウ病、松の材線虫による萎凋病、いろいろ呼び名は有りますが、松が萎れて枯れてしまいます。
まさしく萎れて段々と枯れています。
納得させるために青い枝を折って、脂か出ないのを見せて、菌による葉枯れとは違う事を説明して、枯れた松の処理と他の松の予防を指示して、冗談で診断書と15,000円の請求書を送りますと言っておきました。
樹木医診断費用の相場です。
もちろん、世話になった先輩ですので、請求書は送りません。
アイスコーヒーをいただきながら、四方山話をして失礼しました。
松が枯れるメカニズムですが、諸説ありますが、自分の理解として、松は雑菌等の異物が入るとテルペン類を仮導管に充満させて殺してしまおうとする生体防御反応がある。仮導管にテルペン類を充満させると水分流動が止まるが、水分流動を止めても雑菌をやっつけようとする。マツノザイセンチュウはテルペン類では死なず、そこいら中でこの生体防御反応が起きて、松自体を枯らせてしまう。
マツノザイセンチュウは、アメリカから入って来たとされ、アメリカのマツは、この生体防御反応を鈍くする事でマツノザイセンチュウに対する抵抗性を持ったと言われています。この抵抗性を持つのに約12万年を要したとの試算も有るようで、松くい虫の解決には気の遠くなるような時間が必要です。

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