山好きオヤジの独り言

山の思い出や日々の事を書き留めています。

ポルトガルの島で日本のスギが大事に育てられている

大西洋に浮かポルトガル領のサンミゲル島。



佐渡島より少し狭く,奄美大島よりも少し広い


この島で日本のスギが大事に育てられています。


1998年にリスボン大学の研究者などが日本の林木育種センターを訪問されました。


用件はスギの品種改良について


なんでポルトガルでスギの品種改良?


ポルトガルで日本のスギの林業が盛んなので!


えー!


サンミゲル島は大航海時代の中継地で栄え、19世紀には薪炭・用材で島の木を伐り尽くしてしまいました。


森林が壊滅し、降雨や強風により土壌の流出・浸食が相次ぎ、これらの防止に森林の造成が必要と気づきました。


その時、鑑賞樹として植えられていた日本のスギが、他の樹種と比べて耐風性があり、また成長スピード大きく島の造林樹種として盛んに植えられそうです。


なんで19世紀のポルトガルに日本のスギがあるんだ?


大航海時代の交易?


関係者の間でいろんな妄想が広がりましたが


駒場農学校等史料に以下の記録がありました。


1881年6月に、ポルトガル政府からの要請が外務省を通して農商務省にあり、同年12月山林局が全国から樹木種子を集め、農商務省が外務省へこれらの樹種(スギを含めて116種)を納付しました。


この資料にはこの件の途中経過も記録されています。


外務省からの依頼に、農商務省が山林局が140-150種を用意したいと7月に回答。


9月に外務省から農商務省に、その後山林局から音沙汰ないと催促。


種子が実るのは秋なんですが、外務省には解らないですね。


山林局は12月までに何とか116種までそろえて外務省へ納入しています。


何はともあれ,大西洋のど真ん中の島で日本のスギが大事に育てられています。


国際シンポジウムで同島を訪れた新潟大学の関係者は、島のスギ林に入って歩いているとここは日本ではないかと思えると記しています。


詳しくは森林施業研究会のニュースレターを参照してください。


この島にはアジサイも導入されて島の風景のひとつとなっています。


ツバキやツツジもあるようです。


日本の林業技術者としては一度訪れてみたい所です。

×

非ログインユーザーとして返信する