抵抗性の無い抵抗性マツ
訳の分からない題名です。
マツクイ虫被害によって日本中の松が枯れているのは皆さんもご承知の事と思います。
マツクイ虫は、大正時代に長崎に輸入したベイマツについて日本に入ってきた外来性の害虫で、日本のマツには免疫が無いのでついたら枯れます。
そこでマツクイ虫被害に抵抗性のあるマツの品種を作ろうと、
林野庁が予算をつけて抵抗性マツというのが作られ苗木が売られるようになっています。
一見、めでたい話のようですが、この抵抗性というのが問題なのです。
一般に植物防疫学的には抵抗性があるというのは枯れないということですし、
一般人の感覚でもそうだと思います。
ところが、非常に都合の良い解釈をして、
松くい虫に強いマツを抵抗性マツとして世に出して流通させています。
マツクイ虫に強そうなマツを選抜して苗木を作り、
苗木にマツクイ虫の病原であるマツノザイセンチュウを摂取して、
枯れなかったものは抵抗性があるので出荷しようというものです。
なんかうまく行きそうな話ですが、
マツクイ虫は夏の暑い時期に日照りで枯れそうな状態でマツノザイセンチュウが入るので枯れるのです。
反対に言えば水分が豊富でマツのヤニの滲出が盛んな木は枯れにくいのです。
人間で言えば体力の無い老人が風邪にかかると死んでしまいますが、
体力のある人が風邪を引いても死ぬことはありません。
苗木に病原を摂取して枯れなかったので、
マツクイ虫に強いかもしれませんが、抵抗性があるとは言えないんです。
現在、昭和の時代や平成初期に選抜された抵抗性マツがそれなりの大きさになって、
マツクイ虫被害で枯れると言うことが起こっています。
一般人は抵抗性マツと言われれば枯れないと思うでしょう。
鳥取県では、
あろうことか全国植樹祭で天皇陛下に抵抗性アカマツをお手植えしていただいております。
これが枯れないことを心密かに願っています。